池坊に入門した門弟が池坊華道家元宗匠から免許される花伝書に記してある生花を"伝花"と言い、基本形とは違う形であったり特別な意味や扱いの説明が必要な物です。
「花は人なり」という言葉どおり、花に想いを重ねてきた先人の心を伝えるものが“伝花”に凝縮されています。
"伝花"には、「生花五ヶ条」と「七種伝」があります。
「生花五ヶ条」松竹梅、桜、紅葉、三ヶ船、実物・葉物・蔓物
「七種伝」 芭蕉・蓮・水仙・万年青・椿一輪生・牡丹・朝顔
この花伝書は、かつては一種ごとに授けられましたが、今は【初伝】資格取得時に、お免状と共にまとめて渡されます。入門一年そこそこで、いきなり"やって良し"とされていますが、始めは何のことやらさっぱり分かりません。稽古を続けるうちに少しずつその心が理解できるようになるものでしょう。
「生花五ヶ条」
松竹梅 永遠の命と若々しさ・スクスク成長節目あり・苦難の後に花咲かす
桜 下から開花
紅葉 上から色づく
三ヶ船 島国日本にとって出船は未来へ向かう特別な物
実物・葉物・蔓物 植物の美しさは花だけではない
「七種伝」
芭蕉 風をお客様に感じていただく
蓮 仏教の影響 過去現在未来
水仙 陰の花 厳しい寒さを乗り越えて唯一冬に咲く最も高貴な花
万年青 代々続く子孫繁栄
椿一輪生 引き算の美学の頂点
牡丹 花王。立花の牡丹胴を彷彿とさせる膨よかな姿
朝顔 前夜から生けて蕾に水を入れておく。朝一瞬の儚い美しさ。
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